あやかはその日、新人のOJTだった。社長秘書の業務はハッキリ言って頭の良い子でないと出来ない。更にはスタイルをキープし、身なりにも気を遣い、社交性もないといけないのだ。去年来たヤボったい女の子は正直無理だと思った。ぽっちゃり気味で動きもとろく、使いものにならない。いじめた訳ではないけれど、それなりに空気を読んで自ら辞めていった。問題は今回来た子。秘書経験済みで、学歴も私より上。何よりスタイル抜群で巻き髪をぶりんぶりん揺らしてヒールを履きこなす。”新人”としての役目は全く果たしていない。”新人”というものは仕事は出来てもいいが、先輩より目立ってはいけないのだ。あやかはまだ若いがそれなりに辛い経験もしたし、社長のセクハラや取引先とのアレヤコレヤを経験してきた。プライドがあるのだ。教えている最中も聞いているのかいないのか、上の空で表情のない顔をしている。廊下で社長とすれ違った時に社長の目線は完全にその子だった。「あやかさんって体使って自分の居場所キープしてるんですか?」突然ロッカーでそう訪ねてきた新人。あやかは震えが止まらなかった。色んな思いが駆け巡り「だったら何がイケナイのよ!」と叫び背を向け逃げるように会社を出た。1番言われたくない一言だった。その通りだったから。自分の中でハッキリと認識しないようにやり過ごしてきた。それを言葉に出すなんて。社長に「今回もよろしくね」とホテルの名前が書いた紙を渡される。部屋に行くとどこどこ会社の重役がバスタオル1枚で待っているのだ。そんな世界は意外にも現実にある。それをやりこなせばどんどんと昇給する。これがあやかの立派な仕事の1つ。今日のAV出演は完全にストレス発散。だって新人にこんな真似できる?